「アン姉とアン兄のロシアゆうゆう紀行」 番外 <ファベルジェ美術館 上巻> [友人の美術館]
日本ではあまりなじみがありませんが、ロシアでは長く寒い冬が終わり、心待ちにしていた春の訪れとともに祝うイースター(キリストの復活を祝う祭)は、とりわけ重要なお祭りであり、現在でも、多くの人たちが復活の象徴として、綺麗にペイントされた卵(ゆで卵)を飾ったり、贈り合ったりして、この日を祝うそうです。
そして、ロシアで特に有名な「イースター・エッグ」が、アレクサンドル3世とその息子であるロマノフ朝最後の皇帝ニコライ2世の時代に皇室御用達の宝石商であり、金細工師であった「ファベルジェ」とその工房により、皇帝の注文を受け、毎年、作り続けれらた「インペリアル・イースター・エッグ」と呼ばれるものです。
モスクワのクレムリン武器庫博物館に展示さているコレクションも有名ですが、ファベルジェの工房がサンクトペテルブルクにあったことから、現在、市内にある旧宮殿を改装した私設美術館「ファベルジェ美術館」において、大変貴重な伝説のインペリアル・イースター・エッグを鑑賞することができます!
しかも、クレムリン博物館内での撮影は許可されていませんが、こちらはOKです「最初のめんどりの卵」
1885年のイースターにアレクサンドル3世が結婚20周年記念に皇后マリアへ贈るために注文した
First Hen Eggです。
何故か、ファベルジェによるBC4世紀のスキタイ金細工の腕輪のコピー品が一緒に展示されていました。
皇后がこのプレゼントにとても感激し、喜んだことから、気をよくしたアレクサンドル3世は
ファベルジェを宮廷宝飾細工師に任命し、毎年、注文するようになったのが、
インペリアル・イースター・エッグの始まりです。
写真のように卵の中身が並べられて展示されていますが、本来は、純金の素地に白いエナメルを厚塗りした卵の殻を割ると、金の卵黄が現れ、卵黄のかみ合わせ式の留め金を外すと、内側にスウェードを貼り巣に見立てられたところに金のめんどりが鎮座し、そのめんどりの中には小さな帝冠とルビーのペンダントが入れられていたそうです。残念ながら、肝心の中身は行方不明。
このようなお楽しみ(仕掛け)が必ず施されているのが「ファベルジェの卵」の特徴です。
「ルネサンスの卵」
1894年、皇帝アレクサンドル3世が皇后マリアに贈った最後の卵
瑪瑙でできた卵に赤、白、青、緑のエナメルとダイアモンドとルビーをちりばめた金の格子で飾られています。
長らく卵の中にあったはずのお楽しみ(仕掛け)は失われていたと考えられていましたが、
近年になって、アメリカのフォーブス・コレクションにあった「キリストの復活エッグ」がこの卵の内部にぴったり納まり、デザインや色合いも似ていることから、失われていた仕掛けではないかと考えられ、ルネサンス・エッグとともに展示されています。
Photo by アン姉さんとアン兄さん/cordinated by アン姉さん/Fotografica E Cachorro/All rights reserved