「アン姉とアン兄のロシアゆうゆう紀行」 第6回目 [友人の美術館]
ロシア正教会の聖堂であり、人気観光スポットにもなっている「血の上の救世主教会」を紹介します。
正式名は「ハリストス(キリスト)復活大聖堂」ですが、「血の上の救世主教会」という呼び名があまりに有名です。
この名の由来は、1881年3月、テロリストによって襲われ、爆殺された皇帝アレクサンドル2世を哀悼し、その血で染まった路上の一部を内部に取り込んで建立された教会だからです。
そして、このおどろおどろしい名とともに、この教会を人気の観光名所へと押し上げたのは、サンクトペテルブルクの他の建築物とは異なる、中世ロシアを思わせるようなロマンチックで伝統的なロシア様式による建築美ではないでしょうか?
サンクトペテルブルクの建築について少し触れたいと思います。
18世紀初めに「ヨーロッパへの窓」として、ピョートル大帝により積極的にヨーロッパ文化を取り入れ、都市計画そのままに建都されたサンクトペテルブルクでは、当時のヨーロッパで絶頂期を迎えていたバロック様式建築が「ロシア・バロック様式」として開花しました。
現在のエルミタージュ美術館である「冬宮」や郊外の避暑地ツァールスコエ・セロー(皇帝の村)にある「エカテリーナ宮殿」などが良い例です。
その後、18世紀終わりにヨーロッパで広まったフランス絶対王政期の懐古的な流行(ネオクラシシズム)と19世紀初めのナポレオン戦争での勝利によってロシア国内で沸き立ったナショナリズムとが融合して生まれたのが「ロシア・クラシック様式建築」その代表的建築物は「イサーク大聖堂」や「カザン聖堂」です。
運河が街の中心部を縦横に巡り、運河沿いには、それぞれの建築様式による歴史的建築物が建ち並ぶ、その見事なアンサンブルが、ロシアで最も美しい水の都としての地位を確固たるものしているサンクトペテルブルク。
世界中の人々を魅了するその壮麗かつ重厚な街並みのなかで、まるでおとぎの国のお城のような、なんともメルヘンチックな佇まいの教会が異色のものに見えてしまうのも納得がいきますね。
とても色鮮やかな外観 一部修復中だったのが残念
大人気観光スポットに集まる観光客目当てにパフォーマーの姿も・・
総面積7000㎡超のモザイク画で覆い尽くされた教会内部は息をのむ美しさ
言葉では言い尽くせないほどの感動です!
細やかな装飾彫刻が施され、カラフルな天然石が埋め込まれた絢爛豪華なイコノスタスと天井や壁を覆う精密なモザイクイコンも必見!
アレクサンドル2世の血に染まった場所
運河に近い教会内部に、まさに教会建設のきっかけとなった事件現場が、当時のままの路上の敷石と鉄製の手すりとともに保存されています。
周囲より床面が低くなっているのは、この部分がもともとの道路の高さだからです。
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